数理・情報一般 数学の現在・過去・未来

2009年4月20日

多面体のオイラー数

Leonhard Euler

Born: 15 April 1707 in Basel, Switzerland

Died: 18 Sept 1783 in St Petersburg, Russia
 
 

オ イラーはスイスの10フラン紙幣に描かれている
http://turnbull.mcs.st-and.ac.uk/history/PictDisplay/Euler.html
 
 
 

デカルト 1596ー1650
フェルマー 1601ー1665
パスカル 1623ー1662
ニュートン 1642ー1727
ライプニッツ 1646ー1716

オイラー 1707ー1783

ラグランジュ 1736ー1813
ガウス 1777ー1855
ポアンカレ 1854ー1912
 

年 表で見ると
http://turnbull.mcs.st-and.ac.uk/history/Timelines/index.html
 
 

http://turnbull.mcs.st-and.ac.uk/history/Timelines/TimelineC.html

http://turnbull.mcs.st-and.ac.uk/history/Timelines/TimelineD.html

http://turnbull.mcs.st-and.ac.uk/history/Timelines/TimelineE.html

これらのデータは次のページによく整理され収録されている。
 

http://www-history.mcs.st-andrews.ac.uk/
 
 

オイラーの仕事:解 析力学、数論、位相幾何学
 

以下は三重大学の蟹江先生のページにある解説です。
http://www.com.mie-u.ac.jp/~kanie/tosm/humanind/jinmei.htm

オイラー、レオンハルト(Leonhard Euler, 1707.4.15-1783.9.18).
 スイス、バーゼルに生まれ、ロシア、サンクト・ペテルスブルグに死す。
 ヨハン・ベルヌーイの弟子。ペテルスブルグ(27-41)、ベルリン(41-66)、ペテルブルグ(66- 83)のアカデミーに。66年に全盲となるも、死ぬまで活発な研究を続ける。朴訥な人柄で、子供は13人。赤ん坊を抱え、子供を足元で遊ばせながら数学を したと言われている。天王星の軌道計算の途中,孫を呼びにやり,お茶をすすりながら話をしているとき、突然「死ぬよ」と周りに告げ,穏やかに「生きること と,計算することを止めた」という。
 数学史上最大の多作家。解析学,代数学,整数論,確率論,複素関数論,変分法.ケーニヒスベルクの橋を一筆 書きする問題や多面体の面・辺・頂点の数の関係式(オイラー標数)で、グラフ理論とトポロジーの祖となる。オイラー類,オイラー定数,オイラー方程式.  天文学(日蝕の計算,月の新理論),航海学(船のローリングやピッチングの理論),流体動力学(気球の飛行計算),屈折光学(レンズの理論).
 フランスの物理学者アラゴー(1786.2.26-1853.10.2)は、オイラーを「解析学の化身」と 称え、 「人が息をするように、鷲が空を舞うように、オイラーは計算をした」と言っている。

以上は三重大学の蟹江先生のページにある解説でした。
http://www.com.mie-u.ac.jp/~kanie/tosm/humanind/jinmei.htm
 
 
 
 
 
  

オイラーの仕事の大きさは計り知れないところがある。
すなわち、彼は、記号法を導入している。
 


オイラーの仕事:解析力学、数論、位相幾何学

位相幾何学:もののつながり方の研究
ものの形の研究
 
 
 

ケーニヒスベルグの橋
一筆書きの問題

http://turnbull.mcs.st-and.ac.uk/history/HistTopics/Topology_in_mathematics.html
 
  

これらの橋を一度ずつ通るような歩き方があるか?

少し、やってみるとそういう歩き方はないだろうということが予想される。

問題はそれをどのように示すかである。

オイラーは次のように示した。

橋を辺、橋を渡らずにいける地面を頂点とするグラフを考える。

オイラーの主張は次のものである

オイラーの一筆書きの定理

有限個の辺をもつ連結なグラフに一筆書きが存在する必要十分条件は、すべての頂点について、そこに集まる辺の個数が偶数であるか、2つの頂点だけが奇数で例外であるかのどちらかが成立することである。

十分性の証明は、連結性を保ったまま、3つ以上(k 本)の辺が集まる1つの頂点を2本の辺が集まる頂点と(k - 2)本の辺が集まる頂点に分解していくことにより、おこなわれる。

 



2009年4月27日 

オイラーの多面体定理

凸多面体の
頂点の個数をv ,
辺の個数をe,
面の個数を f と すると
v - e + f = 2
 

確かめてみよう。
 
 

凸多面体とは何か?
 

凸:出っ張り、出っ張っていること、凹の逆???
 

凸 な図形の数学的定義:
図 形の2点を結ぶ線分が
必 ず図形に含まれる図形
 
 

多 面体:多くの面から成り立っている図形???
 

凸多面体1

凸多面体2
 
 

我々の見た凸多面体の面とは平面の 多角形。
実際には凸多角形が面となってい る。

また、凸多角形は
平面の片側の共通部分となってい る。
 
 

従って
凸多角形は、いくつかの
空間ベクトル a1, ..., ak
実数 b1, ..., bk により、
連立不等式
a1xb1 ,
. . . ,

ak xbk

により定義される図形である。
・は内積を表す。
 

さて、
平 面の多角形の
辺 の個数と頂点の個数は等しい。
 
 
 
 

平面の多角形の分割について

多 角形とは、辺がひとつながりに
なっている平面上 の図形と定義する。

このとき、辺の個数と頂点の個数は 等しい。

平面の多角形が、線分のあつまりによって
多角形に分割されているとき、
v - e + f = 1
を辺の数についての数学的帰納法で示す。

分割される前の多角形について、
面の数は1だから、上の式は成立している。
 
 

次の操作を考える。

「まず、2つの面をつなぐように辺を消去する。
多角形の内側に突き出した辺と頂点を消去する。」

この操作が必ず出来ることを示せば、
この操作で、v - e + f  の値は変わらないことと、 
辺の数が減ることから、
数学的帰納法によって、上の式は成立している。

面の数が2以上ならば、隣合う面があるから
辺の消去が可能である。

この結果、多角形の内側へ突き出した
辺と頂点が出来たときは、辺と頂点を
先から順に消去していく。

こうして、平面の多角形が、線分のあつまりによって
多角形に分割されているとき、v - e + f = 1
が示された。

凸多面体 K は、
2つの平面の多角形 PP2 に、
裏と表が射影できる。
裏と表の共通部分 C
 PP2 の境界に射影されている。

このとき
 K の辺の数=  P の分割の辺の数
          + P2 の分割の辺の数
      C の辺の数
K の頂点の数=  P の分割の頂点の数
          + P2 の分割の頂点の数
     C の頂点の数
K の面の数=  P の分割の面の数
          + P2 の分割の面の数
 

v (K)- e(K) + f (K) = v (P) + v (P2) - v (C )
                              - (e (P) + e (P2) - e (C ))
                              + (P) + (P2)
                            = 1+1 + e (C ) - v (C)
                            = 1+1 = 2
 
 

 
余談

平面のタイル張りのうち、平面の格子の
ディリクレ領域といわれているものは、
円に内接する対辺が平行な6角形である。

我々が、よく出会う凸多面体には、
空間の格子のディリクレ領域となるものがある。
空間の格子のディリクレ領域
 
 
 


  

2009年5月7日 

3次元空間内の正多面体は5種類である。

正4面体、立方体、 正8面体、正12面体正20面体


 このことは、オイラーの多面体定理からわかる。

正多面体ということは、各頂点にあつまる辺の数が同じ(aとする)で、各面が正多角形(正b角形とする)であるという条件を満たしている。


1つの辺は丁度2つの面の辺となるから、
e =b f

1つの頂点の周りに集まる面は、頂点の近くで頂点を取り除いてもつながっているから、
v =2
e
が成立する。

ここで

v - e + f = 2

であり、

a≧3, b≧3である。 


(2/a − 1 +2/b)e =2
を解けばよい。
 2/a − 1 + 2/b>0,
すなわち、1/a +1/b>1/2
だから、a≧3, b≧3を満たす解は、

(a,b)=(3,3), (4,3), (3,4), (5,3), (3,5)
の5通りである。このとき、e =6, 12, 30となって、下の表のものと一致する。実際の図形も図示したものになる。

 


正4面体 立方体 正8面体 正12面体 正20面体
面の形
正3角形
正方形
正3角形 正5角形
正3角形
面の個数
12
20
辺の個数
12
12
30
30
頂点の個数


20
12




3角形に分割された多面体を考える。
 


 



Jules Henri Poincare

Born: 29 April 1854 in Nancy, Lorraine, France

Died: 17 July 1912 in Paris, France

http://turnbull.mcs.st-and.ac.uk/history/PictDisplay/Poincare.html




各3角形の上に
次の模様(フローライン)を考える。
 
 
 
 


 
 


四面体に模様をつけると



 
 
 

演習問題:正8面体、正20面体に対して、
模様を描いてみよ。

 




 菱形12面体

アルキメデスの多面体

凸多面体に定義されたオイラー数は、球面を三角形(多角形)に分割したときに、その図形の頂点の個数、辺の個数、面の個数を考えて、定義できる。


穴のあいた閉じた曲面に対しては、
穴の数を g とすると
v - e + f = 2 - 2g
この数は曲面に対して定まる
もので曲面のオイラー数と呼ばれる。





 
 

 



 


 
 


この模様の出所は

cos x cos y のグラフ



 

黄色は、[0,2π]×[0,2π]

赤色は等高線

青色は最大傾斜線



 

この最大傾斜線の模様から
直角二等辺三角形を取り出し、
三角形を重心細分したものに当てはめた。
 

このようなフローラインは
曲面を3次元空間の中において
等高線に垂直な最大傾斜線として
現れる。
 

一般に、等高線と最大傾斜線は直交している。
 


この最大傾斜線で、
曲線が1点に集まるところ
双曲線のようになるところ
注目する。
 
 

      
 

等高線では、それぞれ

      
 

それぞれ、極大点、極小点
鞍点(峠点)に対応する。


オイラーの多面体定理における

頂点 v 、面 f に対してが対応し、
e に対してが対応する。





 

従って、球面上の模様に対して
オイラーの多面体定理
次のように書かれる。
ポアンカレ-ホップの定理

の個数 ‐ の個数 = 2

右辺は一般にはオイラー数となる。


 
 
オイラーの多面体定理の証明は

辺を消去して、面の数を減らす」、

辺と頂点を縮める
という2つの操作によった。

これは、最大傾斜線の模様に対しては

コブの消去に対応する。

曲面を変形して、

の対を
消滅させることが出来る。


 

実際の最大傾斜線には
流れ落ちる方向が定まっている。

同じに対しても、
極大に対応するものと、
極小に対応するものがある。

このような最大傾斜線に
対応する模様を考えると、
最大値、最小値は存在するから、

の個数 ≧ 2


 サドルに対しては、
その上下に出る枝
左右に出る枝
一方の組が増加
一方の組が減少している。
 

この枝の一本によって、
サドルが極大点、極小点に
つながっているときに、
コブの解消(対消滅)が可能である。
 


最も簡単な曲面では
最大値最小値が1つずつある。

これは球面と同相になる。
同相となるとは、同じ「座標」を
とることができることである。
 


一般には、極大点が複数、
あるいは極小点が複数あれば、
その間にサドルがあり、
対消滅させることができる。
 

従って一般の曲面に対しても

オイラー数          
= の個数 ‐ の個数 
≦ 2              である。
 
 
 
 
 

その結果、極大点極小点が
1つずつで
最大点最小点となっている
ようにできる。
 トーラス


サドルがあるときに
最小点、最大点、サドルを結ぶ
曲がった3角形

はサドルの数を k
とすると 4k 個ある。
(k =2-オイラー数)


これらは、最小点、あるいは最大点の
まわりでは
2 k 角形をなす。


 


 

この 2 k 角形の辺を元のように
縫いあわせると曲面が復元される。

その様子は、辺を縫い合わせたときに
頂点がひとつの点になる
というものである。

こうして、曲面の同相による分類が得られる。


オイラー数が 1 の時には、
向き付けを持たない曲面
「射影平面」が得られる。

    3次元の空間にある図形の表面としての
曲面には裏表があるから、
向き付けを持つ曲面である。
 

オイラー数が0の時は、
向き付けを持つ「トーラス」
または、向き付けを持たない「クラインの壷」
となる。
 

演習問題:オイラー数が0の時、
向き付けをもてば、
「トーラス」と同相になることを確かめよ。



さて、オイラー数が0のとき、
模様だけをながめて、
これが最大傾斜線であることを
忘れると、
最大点、最小点だったものと
サドルを消滅させることが
できる。
その結果、曲面の上の停留しない
流れが定義される。
 


 

これとは違う流れもある。



 

結論

曲面のオイラー数は、
曲面の上の関数の様子にも
大きな影響を与えている。
とくに、極大点、極小点、サドルだけを
もつ関数に対しては
少なくとも、(2 - オイラー数)の
サドルがある

また、オイラー数は、曲面の上の流れ
(常微分方程式の解)の挙動に
大きな影響を与えている。
とくに、オイラー数が0でないときには
必ず停留点がある。

このオイラー数は、
次元の高い空間にも定義される。
オイラー数は考えている空間の
大域的な性質を表現し、
その上の関数、流れ等に大きな影響を
与えている。