数理News 2005-2

東京大学大学院数理科学研究科     2月15日発行

編集: 広報委員会

数理ニュースへの投稿先: surinews@faculty.ms.u-tokyo.ac.jp

数理ニュースホームページ: http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp/~surinews/

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シンガポールと南インド

         副 研 究 科 長   大島 利雄

  今年の1月9日〜11日にシンガポール国立大学で開催されたYale大学のHowe氏60歳記念シンポジウムに出席しました。数理発足以前の話になりますが,シンガポールとは東大理学部を拠点とする日本学術振興会の二国間交流事業があり,岩堀先生,藤田先生の後任として数学部門の日本側の世話役をしていた経緯があるので,先方には知人が多数います。各部門交替でのシンポジウムの開催や,毎年数名の数学者の相互訪問を行っていましたが,事業発足10年後の見直しでこの事業は打ち切りになりました。シンガポールを最初訪れた時は,私の国外のアジア訪問の最初であったこともあり,多くの中国系の住民の中にマレー,インド,アラブ系の住民が混じった独特の文化に興味と感嘆をもって接しました。その頃は町中に屋台があり,海岸は埋め立てたばかりの広い砂地でしたが,大学内の設備やサポートするスタッフは,当時の我々の数学教室に比べて恵まれていた印象で,援助事業が打ち切られた主な理由もそこにあったようです。今は海岸近くは日本以上に綺麗なショッピングモールやビルで埋まっており,観光の点からはその当時の方が面白かったように思います。
  今回の集会は昨年完成した新しいUniversity Hallで開催され,2つの並んだ大きなスクリーンが講演に使われました。黒板は勿論,ホワイトボードやOHPは無く,OHC使用とコンピュータの接続が可能でした。数学の集会ということで,実際には,OHPシートや紙に書いたもの,あるいは書きながらOHC経由でという講演がほとんどでパソコンを使ったのは私のみでした。OHCの性能がよいためか,OHPシートよりは紙に書いたものや印刷されたものの方が問題なく綺麗に映されていました。
  1日4つの講演がありましたが,初日の最後はパリVII大のHarris氏で,これのみパリ大からのライブビデオ講演でした。他の講演もスクリーン経由であったので参加者にとって違和感がなく,また講演後の質疑応答も他の講演と同様に普通に行われました。東大数理に設備は整っているので,香港大学からの参加者とも相談し,まず時差の少ないシンガポール大との3箇所の共同コロキュームの実験を行おうということになりました。興味をお持ちの方の参加を期待します。

 丁度1年前の1月5日〜8日には南インドのCochin科学技術大学でのシンポジウムに参加しました。スマトラ沖地震の直後のことであり,Cochinはインド最南端のKerala州にあってその州でも津波による死者が多数報告されていましたが,大学は被害がないので是非参加を,とのメールを直前の年末に受け取りました。大学はCochinの町からさらに10Km以上離れた内陸の静かなところにありました。日本からの飛行機便は少なく,シンガポール経由だったので,途中でシンガポールからの参加者と一緒になりました。大学内のゲストハウスに宿泊しましたが,着いた時は暗くなっていました。インドでは,電気の供給が不安定で,電圧が変動し,停電も一日に何度かありました。着いてすぐ,薄暗い中をバスルームに入りました。広い中に便座とシャワーがあるのみで,壁にはトカゲがこちらの様子をうかがっており,床には蟻などがいたので,初日は裸になる勇気が無く,そのまま大学の外に散歩に出ました。暗い中に所々街灯はあります。歩く先方から暗い人影が近づいてきたので,ちょっと緊張しながら進みましたが,すれ違うと大きな一頭の牛であることが判明し,本当に驚きました。人は歩いていませんでした。
  食事は3食ともこのゲストハウスへのケータリングでした。アルコール類は勿論,魚や貝,海老類を含めて肉類が全く無い食事で期間中過ごしました。2日目からは慣れてシャワーを浴び,持参して掛けておいたバスタオルからトカゲが飛び出してもカワイイと思うようになりました。日本の喧噪の中にいたときより健康状態もよくなったと感じました。2日目の夜は学生達の伝統芸能の披露があり,楽器の演奏やら歌,舞踊などが丁度日本の高校のような教室の演台で行われました。初めて人前で披露したので,私がデジカメで撮った写真を親に見せたいから送って欲しい,とある学生には,頼まれました。レセプションでも学生達が給仕をしてくれ,手伝った学生達は私たちの後に食事を取っていました。何よりも衝撃を受けたことは,学生達がすべて心身共に健康に満ちあふれていて生活を楽しんでいる様子でした。日本の現状と比較したとき,近代化や経済発展とは何なのか,それによって人々がより幸せになるとは限らないことを実感しました。

 

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人事ニュース

(※平成17年8月1日以降の異動一覧です。)

教員

☆転入
異動年月日 氏名 新職名 旧職名等
17.10.1 Jonathan J.C.Nimmo 客員教授(H17.10.1〜18.3.31) グラスゴー大学  教授

職員

☆転入
異動年月日 氏名 新職名 旧職名等
17.10.1 神ノ口 順子     教養学部等総務課数理科学総務係  
17.10.1 星  空 教養学部等総務課数理科学総務係  
17.11.16 鴨下 記代子 教養学部等総務課数理科学総務係  
☆転出
異動年月日 氏名 新職名 旧職名等
17.11.15 関  美登里 
退 職
教養学部等総務課数理科学総務係
 

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新任紹介(教員)

 Jonathan J.C.Nimmo  客員教授

 My name is Jon Nimmo and my permanent address is in the Department of Mathematics, University of Glasgow , Scotland . Between 1st October 2005 and March 31st 2006 I am on sabbatical and am a visiting professor ( 客員教授 ) at the graduate school working on integrable systems and I am collaborating with Professors Tokihiro and Willox. Spending my sabbatical here is ideal for my research interests and I am very grateful to both of them for making arrangements for me to spend this time here.
 I have visited the University of Tokyo several times before at the invitation of Professor Satsuma who I have known for many years, but this is by far the longest time I will spend here. Since I first came in 1998 I have had an interest in learning the Japanese language but my skills are still very poor. However, I hope that by the time I leave these will have improved. I find Tokyo a surprisingly relaxing place to live and work - I'm not sure if I would think that if I had to make a long commute by train or car every day however! - and very much like the contrast between the bustle of Shibuya and the quiet streets of Komaba.


新任紹介(職員)

  神ノ口 順子 事務補佐員

 10月1日付で、数理科学研究科主任室Tに採用されました、神ノ口(かみのくち)順子と申します。  
 ジャーナル編集を担当しております。学校での事務は初めてでとまどうことも多く、皆様にご迷惑をおかけしているかと思いますが、早く独り立ち?できるよう、がんばってまいりますのでよろしくお願い致します。


  星 空 事務補佐員

 10 月 1 日付で野口潤次郎先生の研究室に勤務 させていただくことになりました、星空と申します。何かとご迷惑お掛けすることと思いますが、宜しくお願いいたします。


  鴨下 記代子 事務補佐員

 11月16日付で当研究科主任室に採用されました鴨下記代子です。主に21世紀COEプログラムと宿泊施設の予約を担当しております。  
 緑の中に佇む落ち着いた雰囲気のこの数理科学研究科で、COE拠点形成づくりのお手伝いをするこになり大変うれしく思います。  
 未だ慣れないことばかりで、至らないところも多々あると思いますが、どうぞよろしくお願い致します。

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研究ニュース 

p進Hodge理論 
2005年度日本数学会春季賞受賞者 辻 雄 助教授


計算情報委員会からのお知らせ 

数理ビデオグループ、撮影快調!  
 これまでも数理ニュースで数理ビデオアーカイブズ ( http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/video/ )をご紹介してきましたが、ご覧頂けましたでしょうか。今年度も21世紀 COE の援助を頂き、一層活発に収録・編集・公開を行っております。

 今年度は特に、東京大学玉原国際セミナーハウス開所を受けて、開所記念講演会(2005年7月9日)及び高校生のための現代数学講座(8月12日以降計4回)の記録の制作を行っています。セミナーハウス紹介ビデオ(格好良いです!)も作りました 1 。従来からのオープンキャンパス(8月3日)、公開講座(11月5日)、談話会、各種セミナーなどの収録も引き続き行っています。また、ホームカミングデイ(11月19日)、教養学部「学術俯瞰講義」(冬学期)に日ごろ培った講義のリアルタイム高品質伝送技術をもって協力しました。同様に、他大学の数学教室などへの技術移転も行っています。興味をお持ちの方は、計算情報業務室にお問い合わせください。

 なお、以前より「 Windows Media で見られないの?」とのご質問・ご要望を頂いておりますが、機材とソフトウェアの関係ですぐには実現できません。ひきつづき検討中ですので、いましばらくお待ちください。

     
    図1 高校生のための現代数学講座      図2 セミナーハウス紹介ビデオ(タイトル画面)   図3セミナーハウス紹介ビデオ(ホール)

基幹サーバシステムの更新のお知らせ
  2000年3月に導入された現行の基幹サーバは、老朽化のため故障によるシステム停止が発生することが多くなってきました。

計算情報委員会では、ユーザの利用環境の安定とより一層の充実を図るため2005年4月より基幹サーバを更新するための移行準備を開始し、ユーザが直接利用しないサーバについては9月より段階的に移行作業を開始しています。

基幹サーバを完全に更新する時期については、ユーザが直接利用するサーバ(SSH, X端末用サーバ等)の最終動作確認を行っているので確定はしていませんが2月を予定しています。

基幹サーバ更新に関しての詳細や移行に必要な情報については、今後の計算情報業務室ニュース(CNMGニュース)等で順次お知らせいたします。

基幹サーバの更新に際してユーザの利用環境の変更および作業が発生しない予定ですが、基幹サーバが提供する従来のサービスが利用できない等の不都合がありましたら計算情報業務室までご連絡ください。

 

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数理トピックス

●平成 17年8月3日(水) 駒場地区オープンキャンパスが開催されました。 600名ほどの高校生が駒場キャンパスに集い、午後からは数理科学研究科にも多くの高校生が訪れました。図書室、 計算機室、コモンルームの見学や、懇談会、模擬講義に参加しました。

         
   

●平成 18年度 大学院数理科学研究科修士課程入学試験が、平成17年8月29日・30日(筆記試験)、 9月1日・2日(口述試験)の日程で実施されました。

    志願 者 : 136名(内本学出身者45名、他大学出身者91名)
    合格者 :  42名(内本学出身者28名、他大学出身者14名)

●平成 17年9月30日(金)に9月30日付け修了者学位記伝達式が行われました。
  博士 課程修了  2名(留学生)

         

 

● 平成 17年10月5日(水)数学科進学予定者ガイダンスが行われました。

 

●平成 17年 10 月 8 日(土)、 9 日 (日)に「数学科進学生玉原高原オリエンテーション」 が、東京大学玉原国際セミナーハウスで行われました。
 今年初めてのオリエンテーション に、平成18年度数学科進学内定者27名、教職員6名が参加しました。
 8日(土)14時30分から桂研究科長のあいさつに始まり、4学期必修科目をどう学ぶかにつ いて「代数と幾何」を織田教授、「集合と位相」を松尾助教授、「複素解析」を桂研究科長がそれぞれ説明されました。夕食をはさみ、「数学の楽しさ」につい て松本幸夫教授の講演が行われ、続いて学生の自己紹介が行われました。夜には、学生と教員の懇談会が催され、自由参加にもかかわら全員参加となり大いに盛り上がりました。
 9日(日)は、9時から玉原高原を散策し、11時30分から坪井教授の講演が行われました。                                

(教務係長 米山)


 

 

●平成 17年11月5日(土) 2005年度 数学公開講座(21世紀COEプログラム科学技術への数学新展開拠点」)が大講義室にて開催されました。

           公開講座プログラム

   

       


●平成 17年12月16日(金)教職員・学生が参加して環境整備が行われました。

 

●平成 18年1月18日(水) コモンルームにて第13回数理科学研究科留学生交歓会が行われました。
留学生、外国人研究員・ビジター、教職員、チューターら約60人が参加し、にぎやかに食事歓談がすすみました。在籍中の留学生ひとりひとりが紹介され、元留学生による興味深いスピーチに聞き入った後は、桂研究科長と岡本教授の進行による恒例のビンゴゲームでおおいに盛り上がりました。  

                              (国際交流室 中村)

<賞>

2006年度ベルグマン賞(アメリカ数学会)
受賞者・平地 健吾  助教授:
業績題目:べルグマン核およびセゲー核の特異性と CR幾何学との関係についての研究

ベルグマン核は複素領域上で自然に定義される核関数であり,領域の幾何的な情報を豊富に含んでいる.超局所解析,不変式論,複素モンジュ・アンペール方程式などの道具を使って,その情報を読み取る研究を続けている.

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編集後記

広報委員会では、研究科の新しいホームページを作成しています。デザインやコンテンツに関してご協力をお願いいたします。(吉田)

広報委員会
委員長 吉田 朋広
数理ニュース編集局 平山 千陽

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