数理News 2008-2

東京大学大学院数理科学研究科     200932日発行

編集: 広報委員会

数理ニュースへの投稿先: surinews@faculty.ms.u-tokyo.ac.jp

数理ニュースホームページ: http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp/~surinews/

目次


   

反「法医工文」論

         * 大学院数理科学副研究科長  宮岡 洋一*

 

東大には、学部間の序列を表す「法医工文」という言葉がある。後から分離独立した「薬・経」はともかく、大学発足当初からあったはずの「理」が入っていないのはいぶかしいが、「文」のさらにあとだから無視、ということなのであろう。

  ことの起りは、明治の元勲(たぶん森有礼?)が国家経営の枢要に任ずるものはすべからく法律を学び、技官などの専門家を監督して任務を遂行せしめよ、といい、一方では実学を先に虚学を後にすべし、としたことにあった。日本の近代化においては官僚機構(と軍隊)がすべての手本だったから、「法医工文」の序列はひろく政財界にまで浸透し、日本社会には文系/実学  尊重、理系/虚学軽視の風潮が牢固として存する。

  文系vs理系の例をあげよう。ある友人によると、理Iに入学したとき、文Iに進んだ高校の同級生から、「お前の一生、工場長どまりだな」といわれたそうだ。雑誌などに載っている生涯賃金比較でも、理系は文系よりかなり不利である。勉強量がより多くて大学院にまで行っても、収入が低くて、トップに上り詰めることもできず、おまけにネクラのイメージまである、となれば、「理系離れ」が起こらない方がどうかしている。

  理系軽視のせいかどうか定かではないが、日本人の科学知識の水準は意外に低いのだそうである。日本人は算数が得意で教育程度が高い、とは実は錯覚で、学校で習った数学や理科の内容は、実生活における生きた知識になっていない。血液型による性格判断とか根拠がない種々の痩身法、はては水子供養みたいな疑似科学・迷信が日本のように横行しているところは、先進国のなかではほかに米国くらいなものだという。

  実学vs虚学については、これはもういうまでもあるまい。科学の発見と聞いて国民が必ず発する決まり文句、「それは何の役にたつんですか」を思い浮かべればよい。行政においては、「科学」は単独ではまず用いられず、「科学技術」の形でしかでてこない。すぐ金にならない理論研究はやるべからず、といわんばかりである。こうしてみると、数学なぞは、理系で、かつ虚学なのだから、「二次方程式なんて、一生一度も使ったことがないし」といった放言が、「識者」の発言として通用してしまうのも、わが粟散土倭国においては無理からぬことなのかもしれない。

  しかしながら、日本社会に深く根付いてしまった「法医工文」的価値観は、外国の模倣に狂奔するのに精一杯だった戦前や戦後高度成長期ならともかく、現代ではもはや時代遅れなのではなかろうか。官僚の中枢をいまなお法学部出身者で固めているのは、どう考えてもおかしい。各段に肥大してしまった行政組織は、法律や行政学しか学ばなかったゼネラリスト(じつはゼネラリストにすらなりえてないと思うが)の手に余るのではないか。たとえば、財務省幹部のほとんど誰も金融理論の原理がわかっていない現状では、未曽有の国際経済危機に対応できるのか、はなはだおぼつかなかろう。また、国の責任が問われた薬害エイズ訴訟では、旧厚生省の担当課長こそ有罪とされたが、その上司である薬事局長は無罪であった。判決理由がふるっている。局長は薬学や疫学の知識がないのだから責任は問えない、というのである。職務に関する専門的判断もできないものが局長という職を占めるという制度が、そもそも変ではないのだろうか。

  わたしにいわせてもらうと、日本をよくする道は、理系/虚学を大切にすること、これに決まっているのだ(もちろん「虚学」というのは基礎科学・理論科学という意味で、趣味に走った道楽ということではない)。

  通商産業政策や国土環境保全の面で、日本が大きなあやまちを犯して来た一因は、高度に発展した科学を指導層(具体的には官僚)がきちんと理解していなかったことにある。翻って外国を見てみれば、フランスでは工兵学校であるEcole Polytechniqueの卒業生が大統領・首相を勤めることがめずらしくなかったし、現在の中国政府要人の過半数は理系出身者である。一方で、実学、特に理系のそれは、あっというまに古くなる。指導者に要求される大局的かつ長期的視野を養うためには、目先の応用にこだわらない基礎学問の  方が適しているのだ。

  最近文科省あたりが盛んに「キャリアパス」ということを唱えているようである。しかし、まず隗より始めよ、だ。国家公務員の幹部候補生の半数を、理系の基礎科学を学んだ人材、それも修士号博士号を取得したクラスを採用するようになったなら、崩壊寸前の官僚機構に新風を吹き込むだけでなく、深刻な理系離れにも歯止めがかかり、日本国家の衰退を少しは遅らせることになろうというものだ(おまけに、東大数理にとってもめでたい話、とは、これはいわぬが花か)。

 

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人事ニュース

(※平成20331日以降の異動一覧です。)

教員

☆転入

異動年月日

氏名

新職名

旧職名等

20.10.1

Benoit Collins

特任准教授(H20.10.121.3.31

オタワ大学数学科 助教

20.10.1

金井 政宏

大学院数理科学研究科 特任助教

大学院数理科学研究科 特任

研究員

20.10.1

鈴木 正俊

大学院数理科学研究科 特任助教

立教大学 学振特別研究員

20.10.1

三浦 英之

大学院数理科学研究科 特任助教

京都大学 学振特別研究員

20.10.16

笠谷 昌弘

大学院数理科学研究科 特任助教

京都大学 特定研究員

20.1016

戸松 玲治

大学院数理科学研究科 特任助教

大学院数理科学研究科 学振特任研究員

20.11.1

田中 仁

大学院数理科学研究科 特任助教

大学院数理科学研究科 学振特任研究員

20.11.1

Tamas KALMAN

大学院数理科学研究科 特任助教

大学院数理科学研究科 学振特別研究員

 

☆転出

異動年月日

氏名

新職名

旧職名等

20.9.30

逆井 卓也

東京工業大学 助教

大学院数理科学研究科 特任助教

21.2.28

鴨下 記代子

退職

教養学部等総務課数理科学総務係

 

職員

☆転入

異動年月日

氏名

新職名

旧職名等

20.12.1

木村 美留

教養学部等総務課数理科学総務係

 

21.2.1

唐澤 紀子

教養学部等総務課数理科学総務係

 

21.2.1

吹野 美絵

教養学部等教務課数理科学教務係長

 

21.2.1

渡部 梨沙

教養学部等総務課数理科学総務係

 

 

 

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新任紹介(教員)

 :2008-02.files:image001.gif Benoit Collins 特任准教授

 

My name is Benoit Collins. I have currently a position at the university o Ottawa and I have been holding a position in Lyon before. I have been invited by Professor Kawahigashi as a visiting associate professor in his team, from October 1st, 2009. I am teaching a graduate course about the combinatorics of free probability. As the title on my course suggests, one of my areas of research is free probability. This is originally a branch of operator algebras, but it has also evolved as a quite independent field having many interactions with probability theory, mathematical physics, and some aspects of algebra and geometry. I have known Japan and especially the University of Tokyo for a long time, as I came here for the first time in 1999 under the supervision of Professors Funaki and Kawahigashi as a France-Japan exchange student. This first stay at the University of Tokyo was my first occasion to learn operator algebras, which has now become my main research area. Since then, I have spent almost 3 years in Kyoto University as a JSPS and then COE postdoctoral fellow. Even when I am not staying in Japan, I maintain tight links with Japan (and Japanese language and culture!) on a private basis, as my family in law and wife are Japanese. The working atmosphere in the University of Tokyo is very fruitful and is allowing me to complete long standing research projects. I find the scientific activity in the operator algebra team and in the mathematics department very sustained, and this is a very valuable source of scientific inspiration. I am also fortunate to have the opportunity to keep in touch sith people from probably theory in Tokyo. I have many colleagues throughout Japan to whom I owe a lot through scientific discussion and research projects, and this not only in operator algebras but also in probability theory, quantum probability theory and representation theory. Some Canadian and Japanese colleagues consider that I am lucky because I dont have to endure a freezing Canadian winter over the forthcoming months. I am certainly lucky but more because I have a chance to be visiting the University of Tokyo than because I have an opportunity to skip the Canadian winter!

 


 :2008-02.files:image001.gif 金井 政宏 特任助教

 10月1日付でグローバルCOEの特任助教に採用されました金井政宏(かないまさひろ)です。よく中居くんと間違われます。切れ目なく駒場に通い続けて、気がつけば人生の半分くらいになります。本研究科に所属するようになったのは6年前からで、それまではキャンパスの反対側にある総合文化研究科で量子化学、化学反応動力学などを研究していました。現在の私の研究テーマは一言で言うと「渋滞」です。しれも一車線上を追い越すことなく進むだけの単純な状況を考えます。しかし、各車は交通状況に応じて、衝突を避けるために減速したり前に追いつこうと加速したりします。当り前のことのように見えますが、もしただの鉄の塊がこのような運動をしたら非常に奇妙に映るでしょう。人は瞬時に生物と無生物を見分けますが、同様に物体の運動と生体の運動も瞬時に見分けます。では、モノが運動するとき、私たちは何を見ているのでしょうか。この疑問に対しては、現象をモデル化することが一つの回答になります。モデル化とは、対象を数量化しその変化を微分方程式などで表現することによって数学的に捉えることですが、人によって注目する部分が異なるため、様々なモデルが作られることになります。私は、渋滞を渋滞らしく見せる本質的な要因を数学的に突き止めたいと考えています。得られたモデルを調べるためには、解析はもちろん代数あるいは幾何的な手法も有効に使われます。私の場合、特解が得られる微分差分方程式に興味を持っていて、このような方程式を得るために(あるいは分類するために)代数曲線論や調和解析などの方法を試しています。このように問題を数学に焼きなおしてからそれを解決するために必要な数学の準備をするので、各分野の専門家の方々の集まる本研究科は私にとって理想的な環境です。今後、分野に関係なく研究について色々と議論させて頂きたいと思っていますので、よろしくお願いします。


 :2008-02.files:image001.gif 鈴木 正俊 特任助教

 

2008年10月1日付で、立教大学理学部数学教室(学振PD)より、ここ東京大学大学院数理科学研究科に着任しました。任期は2011年3月までの2年半です。最初の半年間は、自室が駒場リサーチキャンパスの駒場オープンラボという所となっていて、数理棟まで若干遠いので、セミナーや図書へ行くのは少し大変です。しかしながら、銀杏並木の紅葉を眺めながら歩くのは悪くありません。数理棟に自室があったら紅葉を眺める機会も少なかったのではないかと思えば、むしろ幸運だったかもしれません。専門は数論です。より詳しく言えば解析数論で、解析的な手法を用いて数論の研究をする分野なのですが、自分がこれまで研究してきたのは、ゼータ関数・L関数と呼ばれる関数の性質ばかりだったので、「専門はゼータ関数・L関数です」と言った方が正確でしょう。特にゼータ関数・L関数の零点の固有値解釈に興味を持っています。2007年3月まで、博士課程時代を含めて、五年ほど非常勤講師をしていました。昨年度から学振研究員に採用されて研究三昧の生活を楽しんでおりましたが、学生と触れる機会が全く無くなると、それはそれでもの足りなさを感じます。今回助教として採用されたこの機会に、演習やセミナーなどでの学生・院生との交流が双方にとって有意義なものになるよう、日々努めてゆきたいと思います。みなさまどうぞよろしくお願いします。


 :2008-02.files:image001.gif 三浦 英之 特任助教

 

2008年10月1日から任期付の特任助教(GCOE)としてお世話になることになりました。流体力学に現れる非線形偏微分方程式を関数解析や調和解析の手法を用いて研究しています。人生の大半を東北地方の自然に囲まれた環境で過ごしてきましたので、どの方向に行っても街が続いている東京は新鮮です。暖かい季節になったら自転車で探検してみたいと考えています。


 :2008-02.files:image001.gif 笠谷 昌弘 特任助教

2008年10月16日付で、京都大学数理解析研究所から、東京大学大学院数理科学研究科に着任いたしました。専門は表現論で、学生のときには三輪哲二先生のもとで、多変数直交多項式の性質やそれに関連したヘッケ環の表現について研究してきました。最近は、量子KZ方程式や組み合わせ論的問題など、関連する話題にも興味があります。学生時代より10年近く住み続けた「学生の街」京都を離れ、新しい地・東京では人の多さに少々戸惑っておりますが、人波に流されることなく、生活・数学の両面で新たな発見をすべく日々を過ごしています。若輩者ではありますが、僅かながらでもグローバルCOEプロジェクトに貢献できればと思っております。よろしくお願いします。


 :2008-02.files:image001.gif 戸松 玲治 特任助教

 

2008年10月から本研究科に特任助教として着任いたしました。その前は日本学術振興会 特別研究員PDとしてこちらに在籍していました。10月までの1年間、私はベルギーのルーベンという街にあるカトリック大学に滞在していましたが、過去の大戦で破壊された街並みもよく復旧され(しかし大学図書館などは多くの蔵書が灰になってしまい、現在でも往時に比べるとその量が少ないようです)、大学都市としての長い歴史を感じられるとともに、郊外においてはじゃがいも、トウモロコシの類のための広々とした畑、それに森も広がっているといった、居住するのにとてもよいところでした。そういったのんびりとした生活ががらりと変わって、東京の喧騒に身を置くこととなり、大都会の発散するエネルギーをひしひしと感じ、ベルギー滞在当時が懐かしくもあれば、しかし同時に数学には大変よい環境に戻って来れたことをうれしくも感じています。さて、私の専門についても少々紹介しようと思います。数学科4年の時、作用素環論の勉強を河東先生のもとで始めて以来現在に至るまで、作用素環論の研究を続けています。一口に作用素環と言っても、C環部族とvon Neumann環部族とがおりますが(もちろんどちらの系統に属す部族の方も少数ですが存在します)、私は後者に属しており、特にWoronowicz流の量子群を研究してきました。とはいっても表現論を研究するというよりは、むしろ作用素環への作用の研究に重点をおいています。面白そうな問題はみな難しいものばかりになってしまいましたが、それでももう少し量子群で何かやっていこうと今のところは考えています。また、専門というほど詳しい知識も持ち合わせていなければ、さして強くもありませんが、お酒にも大変興味を持っています。その点においても本研究科に所属することは大きな喜びの一つです。ビールを始め何でも私は好きですので、もし機会がございましたらぜひお声をおかけください。Prost! 先生方や研究科スタッフそして学生のみなさまにはお世話になることがあるかと思いますが、その際はご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いします。


 :2008-02.files:image001.gif 田中 仁 特任助教

 

このたび、幸運にもさらなる機会をいただき、GCOEによる特任助教として着任いたしました。21世紀COEにより研究のチャンスを与えられもおりましたので、数理には深く感謝しております。この機会を生かし研究・教育に精進してゆきたいと存じます。私は調和解析の初等的な分野において研究を続けてきました。そこには、掛谷予想のような長い間未解決のままに残されている問題の他にも、成立して良いはずの事実・知られるべきはずの量が確認されないままに・確定されないままに多く残されています。いくつかの統一原理に基づいて発展してきたのではなく、いくつかの根幹をなす計算手法の発見によって発展してきたという側面が、調和解析にはあるのではないかと思っています。計算手法はうまく適用されないこともあります。そのために、ここには、既知の方法によっては確認できないけれども初等的で興味深く重要な問題―すぐに手のとどく問題・少なくとも問題意識を持つことのできる問題―が多く残されています。このことが、「情報弱者」であるわたしが、この分野で研究を続けられる一つの要因であろうと考えています。見えないことは不便です。しかし、それを踏まえ、私は「問題意識を持つこと」、「数学を楽しむこと」を積極的に心がけ、研究を進めたいと思っています。今回は、教育の機会もいただきました。上手に「板書」はできそうにありませんが、心を尽して好きな数学について語りたいと思っています。よろしくお願い申し上げます。


:2008-02.files:image001.gif  Tamas Kalman特任助教

 

My research field is low-dimensional geometric topology. In particular, I work with contact three-manifolds and their Legendrian submanifolds. One of the recent invariants defined via counting holomorphic curves, namely contact homology, is associated to these objects and thus it is central in my work. In contact three-manifolds, Legendrians are one-dimensional, and they do show many interesting connections to knot theory in the more classical sense. Of particular interest to me are two-variable knot polynomials, and their recent categorifications which I am trying to explain through Legendrian knot theory. Contact geometry is of course just an odd-dimensional sibling of symplectic geometry and in this regard, Legendrian submanifolds correspond to Lagrangians. Indeed, some of my recent work focuses on detecting various Lagrangians with a Legendrian boundary condition. I have the good fortune of being born at a time when young scientists are offered marvelous opportunities. After finishing university in my native Hungary, I moved to UC Berkeley and obtained my PhD degree there. After that I taught at the University of Southern California for three years before joining the University of Tokyo in 2007. Since then I have truly enjoyed being part of a world-class research institution. I am particularly grateful to Professor Takashi Tsuboi for hosting and mentoring me. I look forward to the academic year 2009 when I will teach my first classes here. Apart from taking in the pleasures of a great city, I was also able to visit various parts of Japan and meet colleagues there. I could see how beautiful the country and how interesting the culture is. To be able to understand more, I am taking Japanese language classes. I have also grown very fond of attending Aikido sessions at my local districts center.


新任紹介(職員)

:2008-02.files:image001.gif  佐藤 香苗 派遣職員

 

 9月1日より、総務係でグローバルCOE業務を担当しております佐藤香苗です。主に旅費を受け持っております。まだまだ皆様に教えていただくことばかりですが、明るく楽しく、頑張ってまいります。ご指導のほど、宜しくお願い申し上げます。


:2008-02.files:image001.gif  木村 美留 事務補佐員

 

 12月1日付でグローバルCOEプログラム事務補佐員に採用となりました、木村美留です。毎日初めての経験の連続です。どうぞよろしくお願い申し上げます。


:2008-02.files:image001.gif  久光 とも子 派遣職員

 

 1月13日よりお世話になっております。グローバルCOEの、主に物品等の担当をさせていただいております。不慣れでご迷惑をおかけしていることかと思います。一日でも早くスムーズな業務ができるよう、勉強していきたいと思いますので、ご指導の程、よろいくお願い致します。


:2008-02.files:image001.gif  唐澤 紀子 事務補佐員

 

  2月1日付けでGCOE事務補佐員として採用になりました唐澤です。緑豊かな駒場キャンパスがとても気に入っております。好きなものは映画と沖縄とスウィーツです。どうぞよろしくお願いいたします。


:2008-02.files:image001.gif  吹野 美絵 事務補佐員

 

 2月1日付けでグローバルCOEプログラムの事務補佐員として採用になりました、吹野美絵と申します。GCOEの旅費手続きやHPの更新などを担当する予定です。皆様のお役に立てるよう頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。


:2008-02.files:image001.gif  渡部 梨沙 事務補佐員

 

 2月1日付けでGCOE事務補佐員として採用になりました。まだ右も左もわからない状態ではございますが、一日でも早く仕事に慣れるよう頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 

 

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研究ニュース

平成20年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手研究科賞 小澤 登高 准教授

2008年フンボルト賞 数学部門受賞 小林 俊行 教授

 

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玉原国際セミナーハウス2008年度の活動

 

玉原国際セミナーハウスの運営も4年目が終りました。今年度の活動を報告します。

平成20年度玉原国際セミナーハウスの利用者数は、延べ(宿泊料金を払った)1110人+進学生33人、合計1143人ほどでした。昨年平成19年度の延べ1220人+進学生29人、合計1249人よりは、100人ほど少なく、一昨年平成18年度の延べ1084人+進学生28人、合計1112人に戻るのではないかと危ぶまれる状況です。

本年度は、5月17日から10月31日まで利用され、利用した23グループのうち、学術セミナー、シンポジウムの利用は13グループでした。昨年の27グループのうち、17グループに比べて(昨年度は堀場国際シンポジウム「p-adic aspects in arithmetic geometry」が行われていたことを差し引いても)やや低調になりました。ただ、一つ一つのグループの規模は昨年より大きくなっています。今年、研究室に4人宿泊できるように折りたたみベッドを入れました。それで、最大収容人数は、43人(多目的室に5人泊まった場合)となりました。

恒例となった理学部数学科進学生のオリエンテーションは、10月18日、19日に行われ、進学生33人の参加がありました。また、GCOE「数学新展開の研究教育拠点」が採択され、9月1日(月)から5日(金)まで、GCOE玉原自主セミナーが開催されました。

地域貢献活動として、群馬県立沼田高校の協力を得て、「高校生のための現代数学講座」を7月19日、26日に行いました。これはもう4年間行っています。また、群馬県教育委員会高校教育課、東京大学大学院数理科学研究科共催で2006年度、2007年度開催された群馬県高校生玉原数学セミナーは、2008年度は科学技術振興機構(JST)の「サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト事業(講座型学習活動)」として、群馬県教育委員会高校教育課に東京大学大学院数理科学研究科が協力する形で9月13日―15日に2泊3日で開催されました。また、沼田市教育委員会と数理科学研究科共催で「沼田市中学生のための玉原数学教室」を9月28日に行いました。

「高校生のための現代数学講座」は、「複素数」をテーマに、大島利雄先生、関口英子先生、野口潤次郎先生、坪井俊を講師としておこなわれ、37人の群馬県の高校生の3名の高校教員の参加がありました。「高校生玉原数学セミナー」は「図形の数理」をテーマに桂利行先生、松尾厚先生、関口英子先生、坪井俊を講師として行われ、群馬県高校生数学コンテスト優秀者23人、引率教員2人、教育委員会担当者2人の参加があったほか、TAとして理学部数学科4年生2人および数理科学研究科修士2年4人が参加しました。これについては、12月13日に、群馬県庁において、参加した高校生たちとの事後研修会が持たれました。「沼田中学生のための玉原数学教室」では、坪井俊「球面上の世界」、桂利行先生「素数さん、こんにちは」という講演を行いました。ここには、中学生27名、教員1名、沼田市教育委員会3名の参加がありました。

これらの詳細については、ウェブページhttp://tambara.ms.u-tokyo.ac.jp/からのリンクをご覧ください。数理科学研究科の数理ビデオアーカイブスのプロジェクトにより、これらの講義の様子はビデオ映像として発信されます。

本年度は、開所作業、閉所作業以外の時期にも、建物管理のために事務の方々に玉原国際セミナーハウスに行っていただき、特に、邪魔になってきた植樹した樹木の伐採をしていただきました。この場を借りてお礼を申し上げたいと存じます。

玉原国際セミナーハウスには、光ファイバーによる快適なネットワーク環境があります。また、セミナーハウスとセンターハウスの間は送迎してもらえます。実際駒場キャンパスを出て、3時間後には、セミナーハウスに着くことができる利便性もあります。図書も充実してきています。これらのことが数理の方にも周知されていないようです。皆様からこのことを学外の方にも知らせていただいて、玉原国際セミナーハウスがさらに多く利用されることを願っています。(坪井 俊 記)

 

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5回高木レクチャー ―― IHES50周年を記念して     小林俊行

 

 2008104()5()に、東京大学数理科学研究科棟の大講義室において第5回「高木レクチャー」が行われました。参加者は200人を超える大盛況となりました。

2008年は、江戸時代末期に日仏修好通商条約が結ばれてから150周年の節目の年で、さらにフランスにおける数学研究所の最高峰であるIHESの設立50周年にあたります。そこで第5回の高木レクチャーはIHESの教授陣をお迎えして行うことになりました。今回の高木レクチャーは日仏科学フォーラムと東大数理GCOEにもご協力をいただき、日本数学会と東京大学大学院数理科学研究科とが共催しました。

 第5回の高木レクチャーの講演者は、IHES所長のブルギニョン教授と、同研究所紀要Publ. IHESの編集長であるジス教授、IHES所員であるフィールズメダリストのコンツェビッチ教授と、ヘルマン・ワイル賞を受賞しているまだ30代のネクラソフ教授の4名です。

 

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5回高木レクチャラー:左からブルギニョン、ジス、

高木貞治(銅像)、コンツェビッチ、ネクラ                                         高木レクチャーのブックレット

   

 ブルギニョン教授は「リッチ曲率と測度」、ジス教授は「右手型ベクトル場とローレンツ・アトラクター」、コンツェビッチ教授は「ホロノミックD加群と正標数」、ネクラソフ教授は「インスタントン分配関数とM理論」をテーマとして、それぞれ2時間にわたる講演が前編・後編の2回にわけて行われました。

 

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        ブルギニョン教授                              ジス教授

 

講演当日の受付では、各講演者から予め集めたレジュメを印刷して綴じた約100ページのブックレットが配布されました。

 

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               ワイン・パーティ

 

週末にもかかわらず200名を越える聴衆が集まった大講義室では、講演中も休憩時間も終始議論が交わされ、講演者・参加者の方々の情熱と、「良いもの」を共有しようという思い、そして「高木レクチャー」の目指す「新しい数学の発展」を求める熱気が感じられました。初日のブルギニョン教授の講演のあとには、同じ会場で(慶應大学の前田吉昭教授が主催された)フィールズ・メダリストの広中平祐氏とコンツェビッチ教授による高校生を対象にした対談が行われ、会場は一層賑わいました。全講演が終了した日曜日の夕方には、2階のコモン・ルームでワイン・パーティが開かれ、講演者も参加者も和気藹々と歓談を楽しみました。

 

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熱気につつまれたコンツェビッチ教授の講演                     ネクラソフ教授

 

 この高木レクチャーの準備と当日の運営にあたっては、組織委員の斎藤毅教授、河東泰之教授、私に加えて、桂利行研究科長、宮岡洋一副研究科長、坪井俊教授、さらに事務職員の鴨下記代子さん・中川亜紀さん、前回の高木レクチャーの運営でもお世話になった鉙内純子さんなどが協力してくださいました。また、日本数学会からは理事長の谷島賢二教授、事務局の長谷川暁子さんも来てくださって、その活動が支えられました。講演の様子は麻生和彦助教・東正明さんらによる東大数理ビデオアーカイブスプロジェクトチームと丸山文綱さんの協力により撮影・記録され,ウェブ http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~toshi/takagi_video/で公開されています。

 

【高木レクチャー ホームページ】

http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~toshi/takagi_jp/

 

【高木レクチャー】

「日本の現代数学の父」と呼ばれる高木貞治の名にちなみ、日本数学会が20063月に設置した。数学者の名前を冠した定期招待講演会は、日本初の試みであり、新たな数学の創造に寄与することを目的に、現代数学の最高峰の講演者を招いて年2回、春と秋に行われる。

 

【高木貞治

18751960。数学者。東京帝国大学卒業後、23歳でドイツに留学。ゲッティンゲンで世界の俊秀たちに出会い、大きな刺激をうける。帰国後26歳で東大助教授となり、4年後に東大教授就任。代数的整数論の研究で『高木類体論』(1920)を発表、ヒルベルトらの類体の概念を一般化した。「数学のノーベル賞」といわれるフィールズ賞の創設(1936)にあたり、第1回選考委員として世界5人の中の1人に選ばれている。

 

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数理トピックス

 

●平成20年7月18日(金)に夏の懇親会が開催され、多くの学生、教職員が参加しました。

それまで降っていた雨もあがり、恒例のすいか割りでは、すいかが割れた瞬間、観客からの大きな歓声が沸き上がりました。

 

●平成20年8月1日()駒場地区オープンキャンパスが開催されました。

今年も多くの高校生が数理科学研究科に訪れました。図書室や計算機室等の見学、模擬講義、懇談会に参加しました。

 

●平成21年度大学院数理科学研究科修士課程入学試験が、平成2091日・2日(筆記試験)、94日・5(口述試験)の日程で実施されました。

志願者:151(内本学出身者44名、他大学出身者107)
合格者:43(内本学出身者26名、他大学出身者17)  

 

平成201122()2008年度数学公開講座(グローバルCOEプログラム「数学新展開の研究教育拠点」)が大講義室にて開催されました。

 

●平成201218()教職員・学生が参加して環境整備が行われました。

集めても集めても落ちてくる矢内原公園の大量の落葉に、みなが奮闘しました。

 

●平成21128日(水)コモンルームにて第16回数理科学研究科留学生交歓会が開催されました。

外国人留学生、研究員、教職員の他、海外からのビジター、留学生の家族、日本人学生あわせて60名の出席者で会場のコモンルームは大いに賑わいました。留学生の自己紹介に続いて、数理を訪問中だった元留学生で現・東北師範大学助教授の袁崗華さん(平成193月博士課程修了)、日本の企業で活躍中の陸永岩さん(平成113月博士課程修了)、IPMU研究員のMikael Pichotさんのスピーチを交えながら、歓談がすすみました。陸永岩さんは毎年欠かさず参加してくださっており、陸さんと近況を報告しあえるのも教職員にとっては大きな楽しみのひとつになっています。食事がほぼ参加者のお腹におさまったころ、桂研究科長の名進行によるお待ちかねのビンゴ大会がはじまりました。大喜びのひと、ちょっぴり残念そうな人様々でしたが、皆さん楽しんでいただけたでしょうか。(国際交流 中村)                                

 

<賞>

辻 雄 准教授が第5(平成20年度)日本学術振興会賞、及び第5回(平成20年度)日本学士院学術奨励賞を受賞しました。

業績題目:p進ホッジ理論とその応用

 

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編集後記

今回も多くの方々のおかげで、無事に発行することができました。ご協力ありがとうございました。原稿執筆を依頼させて頂いたとき、皆様からいつもご快諾頂けるので、大変有り難く思い、嬉しく思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。(鍛冶澤)

 

広報委員会

委員長 吉田 朋広

数理ニュース編集局 鍛冶澤 麻里

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